テクノロジー?材料
自己組織化によるマイクロメートルサイズのコロイド分子の合成法を発見
2種類の共役ポリマーが溶解したブレンド溶液から、自己組織化により、マイクロメートルスケールの液滴同士がクラスターを形成し、多原子分子のような特定の対称性の形状を持ったコロイド分子が簡便に合成できることを見いだしました。
二酸化炭素やメタンのようなシンプルな多原子分子は、原子の結びつき方によって特定の対称性を持つ分子形状をとります。このような多原子分子の形を模倣したナノ~マイクロサイズの粒子はコロイド分子と称され、ソフトマテリアルとしての応用が期待されています。しかしながら、従来、このような特定の対称性を持つコロイド分子の合成には、多段階の合成プロセスが必要でした。
本研究では、2種類の共役ポリマーが溶解したブレンド溶液の自己組織化により、多原子分子の形を模したコロイド分子を簡便に合成することに成功しました。この自己組織化プロセスでは、まず一方のポリマーがマイクロ液滴を形成し、続いてもう一方のポリマーが液滴を形成するタイミングで元の液滴と接合しつつ、相分離した液滴クラスターを形成します。これらの液滴クラスターは、多原子分子のような特定の対称性を持つ形を保ちながら成長し、そのまま固体化してコロイド分子を形成します。この一連の自己組織化プロセスは全て自発的に進行します。また、2種類のポリマーの混合比の違いにより、さまざまな対称性を持つコロイド分子が形成することを明らかにしました。
ポリマーが液滴を形成するプロセスは液-液相分離として知られており、本研究は、合成ポリマーの自己組織化にこのプロセスを導入し、分子集合の力のみでコロイド分子を合成した初の事例です。液滴状態の振る舞いをさらに制御することで、コロイド分子がより高次元に集積した新しい高分子マイクロフォトニクス材料の開発につながると期待されます。
PDF資料
プレスリリース研究代表者
365体育投注数理物質系山本 洋平 教授
大木 理 助教
掲載論文
- 【題名】
-
Spontaneous Formation of π-Conjugated Polymeric Colloidal Molecules through Stepwise Coacervation and Symmetric Compartmentalization
(段階的液滴化と対称的区画化を介したπ共役ポリマーコロイド分子の自発形成) - 【掲載誌】
- Small
- 【DOI】
- 10.1002/smll.202404934