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濾胞性リンパ腫の微小環境における新たなT細胞を発見

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(Image by Nemes Laszlo/Shutterstock)
 発症率の高い血液がんである濾胞性リンパ腫において、新たな特徴を有するT細胞を複数同定しました。さらに、それらが腫瘍の進展を制御し、患者予後にも深く関与することが明らかとなりました。これにより、悪性リンパ腫の病態理解や臨床的マネジメントが向上することが期待されます。

 濾胞性リンパ腫は発症率が高く、再発の多い悪性リンパ腫です。T細胞(リンパ球の一種)の病態への関与が示唆されていましたが、腫瘍性濾胞構造(がん細胞により形成された構造)に存在し、腫瘍細胞との関わりが深い濾胞T細胞の多様性や役割については明らかにされていませんでした。

 本研究では、単一細胞レベルでの高解像度の遺伝子発現解析や空間情報解析を駆使し、濾胞性リンパ腫において増加が見られ、かつ特徴的な遺伝子発現と空間分布パターンを持つ3つの濾胞T細胞サブセットを新たに同定しました。さらに、それら濾胞T細胞の抗腫瘍機能、細胞分化誘導因子、そして予後的影響について詳細に調査したところ、濾胞性リンパ腫の微小環境に存在するユニークな細胞生態系の存在を見いだし、濾胞T細胞サブセットの腫瘍内での割合が、患者予後の強力な予測因子となることが明らかになりました。

 本研究結果は、今後、濾胞性リンパ腫の治療最適化につながるとともに、新たな治療法開発の基盤となることが期待されます。

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プレスリリース

研究代表者

365体育投注医学医療系
坂田(柳元) 麻実子 教授
安部 佳亮 講師

掲載論文

【題名】
Distinct follicular T cell subsets regulate lymphoma progression and outcomes
(リンパ腫の進展と予後を制御する濾胞T細胞サブセットの同定)
【掲載誌】
Cancer Cell
【DOI】
10.1016/j.ccell.2025.06.013

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