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成人先天性心疾患患者の身体活動増加は運動能を向上させる

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(Image by Yuri A/Shutterstock)
 成人先天性心疾患(ACHD)患者は、運動能の低下が予後不良と関連することが知られています。本研究では、日常生活における座位時間を減らして中高強度身体活動の時間を増やすことは、ACHD患者の運動能向上と予後改善に貢献する可能性を見いだしました。

 先天性心疾患は、新生児の約1%に発生しますが、心臓管理と外科手術の技術の進展により生存率は向上し、現在では乳児の90%以上が成人に達しています。一方、成人先天性心疾患(ACHD)患者では、運動能(最高酸素摂取量)の低下が予後不良と関連していることから、座位行動を減らして身体活動を増やすことが、ACHD患者の運動能向上と予後改善に寄与する可能性があります。そこで、本研究では、ACHD患者における座位行動および身体活動と運動能の関連性を調べました。

 ACHD患者96名(18~74歳)を対象に、最高酸素摂取量(1分間に体重1kgあたりに摂取できる酸素量の最大値)と1日あたりの座位行動および低強度身体活動、中高強度身体活動の時間を評価し、これらの関連性を解析しました。

 その結果、1日あたり10 分間の座位行動を中高強度身体活動に置き換えると、最高酸素摂取量が0.454mL/分/kg(95%信頼区間:0.100mL/分/kg、0.807mL/分/kg)高くなることが分かり、中高強度身体活動の時間を増やすことは、ACHD患者の運動能向上に貢献する可能性が示されました。さらに、中高強度身体活動は、疾患の重症度に関わらず、運動能と関連することが示されました。

 本研究成果は、ACHD患者の運動能の維持と予後改善に貢献することが期待されます。

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プレスリリース

研究代表者

365体育投注 体育系
小﨑 恵生 助教

掲載論文

【題名】
Sedentary behavior and physical activity on exercise capacity in adult patients with congenital heart disease.
(成人先天性心疾患患者における座位行動および身体活動と運動能の関連性)
【掲載誌】
International Journal of Cardiology Congenital Heart Disease
【DOI】
10.1016/j.ijcchd.2025.100569

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