生物?環境
規則的に合の手を発するツクツクボウシの鳴き方を発見

ツクツクボウシのオスが互いに鳴き声を発する現象を分析しました。オス2匹を近くに置き、2種類の鳴き声を発するタイミングを調べたところ、一方が高潮音と呼ばれる鳴き声を出した直後に、もう一方が合の手と呼ばれる鳴き声を出すという、鳴き方の時間差に関する規則性を発見しました。
ツクツクボウシのオスは大きな声で鳴きますが、2種類の鳴き声が知られています。1つは高潮音と呼ばれ、「オーシンツクツク、オーシンツクツク」と聞こえるリズミカルな鳴き声です。もう1つが合の手と呼ばれるもので、「ジューッ」と聞こえる長めの鳴き声です。2匹のオスを近くに置くと、一方の高潮音に対して、もう一方が合の手を発する現象が知られていました。しかし、合の手を発するタイミングについては分かっていませんでした。
本研究では、ツクツクボウシのオス2匹を近くに置き、録音した鳴き声を分析することで2匹が鳴き声を出すタイミングの規則性を調べました。その結果、鳴き声を発したペアの内、83%(23ペア中19ペア)で高潮音と合の手の組み合わせを確認しました。また、合の手を安定して発した個体のうち96%(23匹中22匹)で、相手が高潮音を発した直後に合の手を発するという規則性を発見しました。
この規則性の役割として「ツクツクボウシは相手の鳴き声を効率よく邪魔するように合の手を発している」という仮説をたて、これを個体ごとに検証しました。実験データと、合の手が発せられる時刻をランダムにした数値シミュレーションの結果を比較すると、効率よく相手の高潮音と重複させているという仮説が支持されたオスは8.7%(23匹中2匹)とごく少数であることが分かりました。今後、このような規則的な鳴き方が繁殖行動や縄張り維持に対して果たす役割について、さらなる検証が必要です。
PDF資料
プレスリリース研究代表者
石丸 貴大 システム情報工学研究科 コンピュータサイエンス専攻(博士前期課程)2年次(研究当時)システム情報系
合原 一究 准教授
掲載論文
- 【題名】
-
Temporal structure of two call types produced by competing male cicadas
(オスのツクツクボウシが発する2種類の鳴き声の時間領域での規則性) - 【掲載誌】
- Journal of Experimental Biology
- 【DOI】
- 10.1242/jeb.249399